2024年06月23日 公開

遺言書って作成したほうがいいの?そのメリット・デメリットは?
遺言書を作成することは、作成されるご本人をはじめ、
将来遺言書を受け取るご家族等にとっても多くのメリットがあります。
ここでの例として、以下の登場人物でお話を進めてみたいと思います。

家康さん
遺言書を作成しようか検討していますが、「ちょっと面倒だな…」「作り方わからないし。」とも思っています。

愛さん
家康さんの妻。家康さんの相続人となる方。
家康さんは、愛さんに、家とその土地を引き継ぎたいと考えています。

竹千代さん
家康さんの一人息子。家康さんの相続人となる方。
家康さんは、竹千代さんに、銀行口座にある預金を引き継ぎたいと考えています。
01-愛さん・竹千代さん(=相続人となる方)にとってのメリット
家康さんが亡くなってしまった場合、遺言書があることで、愛さんと竹千代さんの負担は格段に軽減されます。
遺言書がない場合、愛さんと竹千代さんは、各種相続手続き(不動産登記や銀行口座の解約など)の前に、
最低でも以下の作業をしなければなりません。
<遺言書がない場合、相続人が行う作業(一部)>
① 家康さんの遺産の整理
② 戸籍による相続人調査
③ 遺産分割協議
④「遺産分割協議書」の作成

一方、遺言書がある場合、
上記の作業のうち①③④を省略・簡略化して、各種相続手続きに入ることができるのです。
<遺言書がある場合>
「①家康さんの遺産の整理」が楽になる
家康さんの財産の全容が掴めないままの整理は、愛さん・竹千代さんにとって大きな負担となります。
家康さんが遺言書に財産の内容を記載してくれることで、愛さん・竹千代さんの負担軽減につながります。
「③遺産分割協議」が不要になる
遺言書がない場合、相続人全員で「家康さんの遺産をどのように分けるか」を話し合う『遺産分割協議』を
しなければなりません。
しかし、遺言書により分割方法の指示がされていれば、
愛さん・竹千代さんはそのとおりに相続手続きを進めればOKで、遺産分割協議をする必要はありません。
なお、遺言書には「どうしてそのような財産の分け方にしたのか?」を記載することもできるので、
争いのリスクを防ぐことにもつながります。
「④『遺産分割協議書』の作成」も不要になる
③で協議をした内容を記載し、相続人全員の署名と実印押印がされたものが「遺産分割協議書」です。
各種相続手続き(不動産登記や銀行口座の解約など)における添付書類として必要となりますが、
家康さんの遺言書があれば「遺産分割協議書」が不要となり、作成の手間も省けます。
「②戸籍による相続人調査」については、遺言書がある場合でも省略できないケースが多いです。
行政書士などに依頼をすることで、少しでも楽に進めることもぜひ検討してみてください。

行政書士事務所
当事務所では、「戸籍の収集のみ」「法定相続情報一覧図作成の代行のみ」などの一部分だけを
ご依頼いただくことも可能です。
費用面がご心配な方など、ぜひご検討ください。
02-家康さん(=遺言書を書く方)にとってのメリット
メリットを羅列すると以下になります。
◎「どの財産を誰に引き継ぎたいか」の意思表示ができる
「家とその土地は愛さんに」「銀行口座にある預金は竹千代さんに」といったように、
特定の財産・割合を、特定の人に引き継げるように意思表示することができます。
◎ 法定相続人以外の方に財産を引き継ぐ意思表示ができる
家と土地、銀行口座の預金以外に、実は最近愛車を買った家康さん。
将来その愛車は車好きの甥っ子に引き継ぎたい…と思った場合、その旨を遺言書に記載することができます。
家康さんの場合、甥は法定相続人にはならないため、遺言書の作成が重要となります。
遺言書がない場合に行われる遺産分割協議🔗に、法定相続人でない甥は通常加わらないためです。
◎ 遺言書作成を機に、自分の財産把握・整理ができる
遺言書に財産を記載することで、改めて自分の財産を知ることができ、
不要なものは処分したりなどの整理ができるきっかけにもなるでしょう。
また、手続きすべき財産が遺言書に記されていることで、
愛さんや竹千代さんにとっても相続手続きがしやすくなります。
03-遺言書作成全体におけるデメリット
遺言書作成にはほぼメリットばかりなのですが、あえてデメリットを挙げるとすれば、
家康さんも懸念している
① 遺言書作成が面倒
② 作成方法がわからない・複雑
といったところになると思います。
ただ、遺言書がない状態でのこされたときのご家族の負担を考えれば、作成することをおすすめします。
また、たしかに遺言書にはいくつかの種類があったり、必要な記載方法があったりと、
自力で作成するには不安がある方もいらっしゃると思います。
🖋 遺言書は大きく分けて4パターン!その特徴とおすすめは? -みずほ行政書士事務所
行政書士などに相談しつつ、適切な遺言書を作成することもぜひ検討してみてください。